'Keeping Christmas' by Henry Van Dyke 日本語訳

クリスマスをつづけよう

ヘンリー・ファン・ダイク著 想像翻訳:Alcyone

ローマ書146節より:日を重んじる者は、主のために重んじる

クリスマスを大切にするのは良いことです。皆がしごとの手を休め、共に楽しもうというこのひとときの伝統は、賢く健やかな習わしです。一人の暮らしを送るよりも他の人と共に暮らすことの素晴らしさを実感させてくれます。いつもは太陽の大時計の下で暮らしている私たちに、時折り自分の小さな時計に合わせて暮らすことを思い出させてくれます。

ですが、クリスマスを大切にすることより、もっとよいことがあります。それはクリスマスをつづけるということです。

たとえば、こういうことをしてみるのはどうでしょうか。自分が誰かにしてあげたことではなく、誰かが自分にしてくれたことを思い出してみる。あなたが世界に貢献してることではなく、あなたがどれほど世界にお世話になっているかと思いをめぐらせてみる。あなたの権利は一番うしろに、あなたの義務は真ん中に置いて、義務ではないけど親切心からできる何かをいちばん手前に置いてみる。仲間の顔をよく見てみる。笑顔の裏で本当はもっともっと心から喜べる何かを必要としてはいないかと、自分のことと同じように仲間のことを思ってみる。あなたが生きるたったひとつの目的は、たぶん人生から得られる何かのためではなく、あなたの人生にあなたが描く何かのためであると考えてみる。世界のことわりに不満を述べる本を閉じて、しあわせの種を蒔ける場所を探してみる。

クリスマスという日にはそんなことをしてみるのも悪くないでしょう?もしもあなたがそう過ごしたいのなら、クリスマスをつづけてみましょう。

身をかがめて小さなこどもたちの望みを聴いてみましょう。こどもたちに必要なものについて思いをめぐらせましょう。老いゆく人のか弱さと寂しさを思い起こしてみましょう。友人にどれだけあなたのことを好きか尋ねるのは止めて、あなたがどれだけ友人を愛しているのかと自らに問うてみましょう。傷みを抱えざるを得ない人々の悩みをあなたの心にも留めてみましょう。言われてから気づくのではなくて、同じ屋根の下に暮らす人の本当の望みを自分から知るよう努めましょう。灯りを調整しましょう。煙は少なくもっと明るくなるように。それから、自分の影で覆われてしまわないように、ランプは前に置きましょう。醜い考えには墓を掘り、あなたのやさしいきもちには素敵な庭をつくって門を開いておきましょう。

クリスマスにならそうしてみるのも悪くないと思うでしょう。もしそう思うなら、クリスマスをつづけましょう。

もしもあなたが、愛は、憎しみや、悪意や、死よりも力強く、1900年の昔ベツレヘムに祝福された命が、永久の愛の姿であり、輝きであると信じてみるというのなら、クリスマスをつづけましょう。

もし一日中クリスマスをつづけることができるなら、きっと毎日だってクリスマスにできるのです。

だけどそれは、ひとりではけっして続けられないのです。

底本:Keeping Christmas(The Project Gutenberg EBook of "The Spirit of Christmas", by Henry Van Dyke, p.44-48 )